第62期DTPエキスパート認証試験講評
第62期試験概況と結果講評を掲載いたします。
前回第61期試験より学科試験をCBT方式に変更して以来、受験地は広がりを見せている。今期は全国27都道府県全70会場での実施となった。
試験実施状況
今期試験では合計199名が受験申請し、うち181名が全国のCBT試験会場で学科試験を受験した。なお、受験者の利便性を高めるため、試験日は2日間(平日または土曜)より日時選択できるように設定している。
試験結果は、10月16日に当Webサイト上で発表した。
学科出題内容
全64テーマ合計308設問を出題した。新出題および改訂問題テーマは以下の通りである。
- コミック同人誌の印刷
- 購買行動プロセスモデルの変遷
- デジタルカメラの保存形式
- デジタルカメラの仕組みと撮影
- 和文書体の特徴
- 縦組みと横組み
- 欧文組版と和欧混植
前期同様、共通の64テーマに対し、受験者によって問われる箇所が変わる方式で出題した。CBT化により出題文の内容が大きく変わったわけではなく、既存問題を中心に学習し正しく内容を理解していれば対応できるよう構成している。
今期試験では、十分な理解をもとに満点に近い高い得点を示す受験者も一定数存在したが、あと一歩というところで合格基準に達しなかった受験者も多く見られた。制限時間120分のうち、合格者の解答時間平均は約105分、不合格者は約107分と大差なく、解答時間は充分残されていたと思われる。また特段正答率の低い難問も出題されていない。今一度基本知識を確認のうえ、ぜひ次回再チャレンジしていただければ幸いである。
なお、今期のマイスター申請者の学科合格率は59.0%、エキスパート申請者の学科合格率は28.6%と大きな差が生じている。幅広く様々な職種の方を対象とするエキスパート認証では学科試験のみを課しているが、学科試験問題の内容はマイスター、エキスパート共通である。学科試験のみへの準備で受験できるエキスパート認証は、マイスター認証に比べ受験準備に必要な期間の差はあるものの、蓄えるべき知識の質が異なるわけではない。決して安易な準備で合格基準に達する出題内容ではないので、この点に留意のうえ臨んでいただくことを願う。
実技試験内容
高級車を扱う車関連雑誌の企画ページとして、ドイツへの工場見学ツアーの旅行レポートおよびツアー参加者募集広告記事(判型210mm╳280mm、見開き2ページ)をデザインレイアウトする課題を出題した。
実技課題作例
出題のポイントとしては、
- 高級ブランド車種にふさわしいデザイン、カラー(デザイン、色)
- 複数点数の車画像を組み合わせて一つのまとまりとしてレイアウトする工夫(デザイン)
- メインの旅行レポート記事に対し、見学ツアー募集情報にも注目させるような情報デザイン(デザイン、組版)
- 工場内の異なる照明環境で撮影された画像の統一感(画像)
といった点が挙げられる。印刷適性としては、従来同様に入稿データ形式や色数などの基本要件が問われた。
マイスター試験10回目にして合格率は過去最高(71.8%)となり、合格基準を見直し人材像を再定義した課題設定により一定の成果が表れたといえる。
合格基準に達しなかった提出物に多く見られた減点箇所として、本文ツアーレポートとツアー参加者募集案内のデザイン的区分けという点が挙げられる。本文ツアーレポートはツアーの魅力を訴求する情報として扱うものであり、ツアー参加者募集案内は必要要件を明確に認識してもらうことが重要である。この点を認識して効果的な情報デザインに展開できている提出物は高得点につながった一方、区分けにこだわるあまり可読性を損なっているもの(本文から募集案内へ視線を向けづらい不自然な配置のものなど)は、合格基準に達しなかった。ラフレイアウト図や紙面設計図に視線の動きを書き入れて確認するなどし、構図、配置を見直すことで、改善につなげてほしい。
(DTPエキスパート認証委員会)
第63期DTPエキスパート認証試験
学科試験を全国の最寄り会場から受験日時を選択して受験できるCBT方式で実施します。
【第63期試験】
試験期間:2025年3月7日(金)~3月8日(土)
受験申込期間:個人受験申請:2025年1月8日(水)~2月7日(金)
団体受験チケット申込:2025年1月8日(水)~1月31日(金)