そうしたニッチな領域での共感が、かるたゲームというかたちを介して醸成され、話題につながっているようだ。デザインフェスタのブースでは、読み札絵札を手に取りながらわいわいがやがやとまさに「あるある!」の歓声が上がる場面が何度もあったという。
「作ってみて感じたのは、思っていたよりもDTPに興味を持っている人は幅広いんだな、ということ。企画当初はデザイナーとDTP制作者のみを想定していたのですが、実際に発売してみると、Webデザイナーや同人誌の制作者、あとは編集者の方などにも刺さったようで、そういう方面でも需要があると感じました。」(武内さん)
印刷発注に携わる過程で「あるあるカルタ」に出てくるような場面を経験したことがあっても、用語を含め状況を正確には理解していないことも多い。こうした層にも響いたことが広がりを生んでいる。
「新人からベテランまで幅広い層の方に楽しんでいただけるように考えて制作しました。商品制作前のシミュレーションでは前職印刷会社のベテラン社員の方々にテストプレイをしてもらい意見を集めたのですが、制作後のテストプレイでは新人社員にやってもらったところ、楽しいというだけでなく、とても勉強になった、という反応があり、想定外の成果が得られました。
さっと見るだけでもじっくり読み直していただいても、じわじわと味わいが感じられるような、そんな楽しみ方をしてもらえればと思います。」(武内さん)