【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[印刷技術] 3-4 プリプレス
掲載日:2018年11月1日
プリプレス工程は、より短い時間で作業を遂行しなければならないので、新たなワークフローの設計や分業体制の改善や、そのコントロールが必要であることを理解する。
3-4-1 ワークフロー
- デジタル化してシームレスなワークフローになると、文字、イラスト作成、画像処理、ページレイアウトなどの諸作業の分担に合わせて、責任範囲を決めておくのがよい。
- 出版印刷の場合、編集者は出版物の設計に責任をもち、全体の進行・管理を行って、編集作業を通して印刷物を統一感のあるイメージに仕上げる。
- 編集者は、文章量のバランス、文体、用字用語、表現が適切であるか、図版類や写真原稿が揃っているかなどのチェックをして必要な修正の指示をする。
- 完成したページのデータを出力する前には、ページに貼り付ける画像データや線画データ等がすべて揃っているか、また、データの解像度やデータ形式が適切なものとして保存されているかをチェックしなければならない。
3-4-2 製版
カラー印刷における色分解から刷版焼付用の分版フィルムの大貼り、刷版製版までの工程をプロセス製版と呼んでいた。DTPによってこの工程は統合された。作業手順は変わっても、その機能・目的および原稿の再現のためにどのようなコントロールがなされているかは同じである。
デジタルプリプレス
- DTPソフトウェアによりページ内における文字、図形、画像の配置や、どのように表示するかが指定される。
- DTPソフトウェアが出力処理をする段階でPostScript様式、またはPDF様式のファイルを生成し、あるいはプリンタードライバーを経由して出力機に送る。
- PostScriptファイル、またはPDFファイルは、文字オブジェクト・図形オブジェクト・ビットマップのオブジェクトを位置の脈絡なく混在させて記述できる。
PDFワークフロー
- Adobe PDF Print EngineはPDFベースのRIPエンジンである。PostScriptでは対応していない「透明」などを含むPDFに対応している。
- 面付けなどの作業をPDFデータで行うことにより、出力機器への負担が軽くなり、より高速な出力が可能になる。
ラスター出力
- デジタル方式の画像システムでは、画像を構成する要素の中でいちばん細かいものをピクセル(pixel)と呼ぶ。RIPなど画像プロセッサーは、ピクセルの場所を処理空間のアドレスで管理し、画像に従って、どれをオンにして、どれをオフにするかを指定していく。
- RIPは画像のピクセルを、x軸あるいはy軸に沿って取り出し、ラスターデータ化する。
- レーザープリンターのようにラスターデータを受け取って、光の点の点滅するビームにして出力(露光)するものをラスター出力装置という。
3-4-3 刷版
CTP
- RIP処理したデータから直接オフセット印刷用の刷版を出力することをCTP(コンピューター・トゥ・プレート)という。
- CTPは、中間工程がなくなり、デジタル化されたことにより画質の劣化が起こらず、高品質が得られる。刷版製版で行っていた焼き度調整や印刷機に合わせた調整は、前工程と連係しデータに対して処理しなければならない。
- 現像処理を行わず印刷機の機上もしくは前処理で行う環境に考慮した現像レスのタイプのCTP版が普及しつつある。
水なし平版
- 湿し水を必要としない水なし平版は、インキ反発層としてシリコン層を刷版の最上部に作り、画線部はその下に感光性樹脂層として作られている。フィルムの焼付け後の現像処理により画線部のシリコン層が剥離し、その下の樹脂層が露出する。インキを受理する画線部は凹状になっているので、ドットゲインが少ない。
- 水を使用しないので版上に砂目が不要で、PS版に比較すると網点再現性がよく、水によるインキ乳化がないので光沢のあるボリューム感のある印刷物が得られる。