【DTPエキスパートカリキュラムver.13】[コミュニケーション]5-2 マーケティング活動と印刷メディア
掲載日:2018年11月1日
マーケティングとは、本来は顧客のニーズを解明し、顧客価値を生み出すための経営哲学、戦略、プロセスを指す言葉である。日本マーケティング協会は「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合活動である。」と定義している。
このような幅広いマーケティング活動の中でも、特に広告、PR・パブリシティ、SP(セールスプロモーション)、パッケージング、ダイレクトマーケティングなどの分野においては、印刷メディアとの関連が深いことは明らかである。また、コーポレートコミュニケーションやブランド戦略といった側面でも、印刷メディアを通じたコミュニケーション活動が重要な位置を占めている。公的機関や教育機関などの非営利組織におけるソーシャルマーケティングにおいても同様である。
したがって、現代の印刷ビジネスは、顧客の目的であるマーケティング活動を理解した上で取り組むことが必要となる。つまり、顧客が何のために印刷物を製作するのかを正しく理解することなしに、顧客の満足を得ることは不可能だと言える。
5-2-1 マーケティングミックス
- マーケティングミックスとは、マーケティング戦略においてマーケティング・ツールを組み合わせて、望ましい反応を市場から引き出すことである。代表的なものとして、製品(Product)、価格(Price)、販促(Promotion)、流通(Place)からなる4P理論がある。また、買い手側の視点から、顧客価値(Customer Value)、経費(Cost)、顧客とのコミュニケーション(Communication)、顧客利便性(Convenience)を4C理論とする考え方もある。
5-2-2 デジタルマーケティングの進展
インターネットマーケティング
- インターネットマーケティングとは、インターネット上での商品やサービスのマーケティングである。Webマーケティング、オンラインマーケティング、ネットマーケティングと呼ばれることもある。狭義にはインターネットや電子メールなどを利用したマーケティングを指すが、広義にはデジタル化された顧客データ管理システムや電子的な顧客関係管理システムを含む。
デジタルマーケティング
- デジタルマーケティングとは、顧客にリーチし、顧客をリードし、顧客に購入を促し、顧客を保持するために、デジタルテクノロジーを用いた測定可能でインタラクティブな手法である。インターネットマーケティング、またはWebマーケティングに留まらず、オフラインを含むあらゆるチャネルのマーケティングを総括的に管理するものである。
マーケティングオートメーション
- マーケティングオートメーションは、メールやソーシャルメディア、Webなどを活用したマーケティング活動を効率化し、効果的にすることであり、またはそれを目的としたソフトウェアである。一般に、メール配信や登録フォーム、キャンペーン管理、リード(見込客)管理・リードナーチャリング、マーケティング分析、Web解析、リードの行動分析などの機能を実装し、それらのワークフローを自動化することができる。また、これらの一連の活動の1つとして、重要顧客に対してDMやパーソナライズされた紙メディアを制作・送付することもある。
5-2-3 マーケティングとデジタル印刷の連係
パーソナライズDMの進化
- オンラインショッピングサイトなどでは、会員(ユーザー)の購買履歴やアクセス状況に応じて、個別に内容を編集するパーソナライズDM(カタログ)を送付する動きが増えている。
- パーソナライズDMは、オンラインサイトで多用されているレコメンド機能を紙メディアに応用したものとも言える。
- パーソナライズDMは、CRMシステムによる顧客管理、マーケティングオートメーション、パーソナライズDMの自動編集システム、デジタル印刷システムの連係によって実現している。
- メールなどのデジタル施策だけではなく、紙メディアを併用することによって、より効果的なダイレクトマーケティングを実現した例だと言える。