DTPエキスパート認証制度改定の背景と主旨

掲載日:2019年11月5日
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DTPエキスパート認証制度は、2020年3月開催試験より二段階制へと移行いたします。

DTPエキスパート役割の変遷と現在

かつてDTPシステムの黎明期~普及期においては、DTP環境による印刷物製作の標準化とこれを推進する人材が求められました。関連技術が刻々と進化するに伴い顕れる新たな技術的課題とその解決という激動期を経て、現在ではDTPシステムによる印刷物製作は一般化しました。

今やDTPシステムによる印刷物製作は限られた一部の熟練者のみに依存するものではなくなりつつあります。ナレッジの共有方法は多様化し、さらにDTPアプリケーションを始めとした制作環境自体の進化もあり、普及期から安定運用の時期へと移行しています。

こうした製作環境の変遷がある一方、印刷物自体の活用場面は、他メディアの発展とさらには生活者の価値観の変容による影響を大きく受け、絶えず変化しています。特殊な技を持たなくとも情報の発信者となれる現在、様々なメディアの特徴を熟知し、情報発信の文脈を作ることにも視点を置いて印刷ビジネスを捉えなければなりません。

このような環境において印刷ビジネスに携わる人材に求められる能力は、スペシャリストの域から、印刷物による価値を生み出す新ビジネスの創造とプロジェクトマネジメントへと変化しています。DTPシステムによる印刷物製作全体を理解し、ビジネスの実践に結び付けるための印刷総合知識の重要性が増しており、こうした一定の知識を試験範囲とするDTPエキスパート認証の取得は、「印刷物による価値を提供するビジネスの土台作り」と位置づけられます。

DTPエキスパート認証制度改定

上記を踏まえ、DTPエキスパート認証制度は2020年3月開催試験より制度を改定します。

学科試験により印刷に関する広範な知識を習得していることの証として『DTPエキスパート』認証、学科および実技試験により知識に加え製作実務の力量も兼ね備えていることの証として『DTPエキスパート・マイスター』認証の二段階の認証を設けます。学科試験のみによる認証を設けることで、より広く企画職・営業職をはじめとしたあらゆる職種の方々も取り組める試験とし、印刷ビジネスの新たな展開への第一歩となります。

DTPエキスパート認証制度改定内容

以前より、

  • 制作実務までを行う職種ではないものの、印刷物制作の全体像を知るための教育ツールは必須である。
  • 制作工程を体験することで全体像を知ることができ勉強になった。

といった声を多くいただいていました。

こうしたさまざまな人材育成の必要性を広く包含する方法として、各自の目標地点に従い取得資格を選択可能な方式へと移行します。
また、各自の習得段階に応じて、学科試験のみの『エキスパート』取得後、実技試験のみをあらためて受験し『エキスパート・マイスター』にアップグレードすることも可能です。

印刷ビジネス人材のこれから

人材育成のキーワードとして、「キャリアドリフト」という概念があります。
目標管理に基づき主体的に自身のキャリアを決めていくだけでなく、大きな方向性や軸を定めたうえで、偶発的な出会いや状況に応じて得られる機会を活かすという考え方です。

JAGATでは、印刷物制作の全体像を確実に身に付けたうえで、さまざまな関連領域を学び経験することで、あらゆるビジネスとの協業の可能性を模索しビジネスの機会を得ていただけるような場を計画しています。

JAGAT CS部 丹羽 朋子

(10/8掲載文を一部改訂再掲)

11月15日(金)開催 JAGATエキスパートDAY2019

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