東京アビリンピックの取り組み
2020年2月1日(土)、第18回東京アビリンピック(東京障害者技能競技大会)が開催された。例年DTP競技は、参加申込開始早々に定員を満たしている模様だ。
東京アビリンピックは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構東京支部が主催する障害者の職業能力技能を種目とした大会だ。能力の向上とともに、企業や社会一般の障害者に対する理解と認識を深めてその雇用を促進することを目的に開催され、今回で第18回を迎えた。今回はデモンストレーション競技を含む全14種目が行われた。
DTP競技では、DTPにおける基本的技術および印刷用データ処理能力とともに、効果的な印刷物を製作する技能を問う競技として行っている。
例年通り、今年度大会も小平市の職業能力開発総合大学校にて開催され、競技には事前登録の9名が臨んだ。
DTP競技課題テーマは、「東京への訪問者に地域の魅力を伝えるフォトコンテスト」
今回は、地域活性への取り組みの一環として行う下町散策スポット紹介フォトコンテストの告知ポスターを制作する課題となった。
告知するのは「フォトコンテスト」なのだが、コンテストを行う目的は、様々な形で地域に関わる「交流人口」の増加という背景を踏まえ、より深く地域と関わってもらうための散策スポット紹介をすること、という前提である。そのため、告知物には「コンテストの開催」という情報を伝えることだけではなく、「国内外からの訪問者に地域の魅力を伝える」というコンテスト自体の開催趣旨を伝えることが求められる。ターゲットと訴求ポイントを踏まえた配色やレイアウトが期待される点だ。
制作要件としては、仕上がりサイズB4に対し、支給される画像5点イラスト5点、ロゴ1点、の中から自由選択で使用、その他キャッチコピーやコンテスト開催概要を含む約500文字ほどのテキストデータが与えられ、レイアウトする。制限時間約2時間の間に、制作趣旨を把握しデザインしつつ、印刷入稿仕様に即したデータを制作するので、相応の熟練スキルが必要だ。
審査基準としては、DTPにおける基本的技術のほか、企画力や想像力、データ処理能力に重点を置き、規定の条件に従いつつアイディアを盛り込み、制作目的に対し効果的な作品を作る、という観点から、各項目の審査を行っている。今回からこうした審査の基準や留意事項の詳細を事前にWebサイト上で示し、競技者が当日までに準備をしたうえで実力を発揮できるような配慮がなされた。
審査により上位3名と努力賞として1名に賞が授与され、うち最上位の金賞受賞者は、秋に開催予定のアビリンピック全国大会への参加資格が与えられることになる。
多様な人材と働き方
2019年日本HRチャレンジ大賞(主催:日本HRチャレンジ大賞実行委員会、後援:厚生労働省、他)において、「障害者雇用とテレワーク」をビジネス化した企業が表彰された。
受賞理由によると、就職を希望しているが機会が得られない障害者の中には、電車通勤が難しい身体・精神の障害を抱えていることが理由となっている場合があるようだ。スキルがあっても働くことが難しい障害者を支援する住宅雇用型の取り組みとして注目された。
必ずしもテレワークがすべてを解決するものとは言えないだろうが、多様な働き方という普遍的な課題と関連する面もあるのかもしれない。
東京アビリンピック大会会場では、一般見学者の入場や見学ツアーも組まれているので、まずは相互理解、他者への共感という面から関心をお持ちの方がいれば、一度会場へ足を運んでみてはいかがだろうか。