2段階制への改定後初の試験開催 ==傾向と講評==
2020年3月開催DTPエキスパート認証試験の結果と傾向を掲載する。
マイスター認証27名、エキスパート認証62名
3月開催試験では、合計174名が受験申請し、うち27名がDTPエキスパート・マイスター認証、62名がDTPエキスパート認証を取得した。
職務に応じて目標を設定し、知識・技能を深めてもらうことを念頭に2段階制をとっている。
実際の受験者層はこの趣旨を反映し、営業職はエキスパート、デザイン・制作職はエキスパート・マイスターを目標とした方が多かった。
また取り組みの機会を広げたことで、受験申請者は昨年比で111.5%となった。
導入初回の今回の試験では、依然として主要な受験者層は印刷会社のデザイン制作職となったが、今後も取り組みのすそ野が広がり、制作職以外の方々の取り組みも期待される。
2段階制によりマイスター実技試験に求めるもの
制作実務に関わる方、あるいはプロジェクト全般をマネジメントする立場の方には制作に関するプロフェッショナル性が求められる。
制度改定に伴いマイスター実技試験では、出題内容と評価基準を新たに定め、デザインとデータ制作におけるプロフェッショナルな人材を育成する試験内容とした。
今回から、デザインプロセスに沿って制作コンセプトを記述する「制作コンセプト書」と、実制作データである誌面データ(印刷入稿用データ)を提出する試験内容となっている。
制作コンセプト書については、実技試験要項にて何をどのように記述すべきかを明示している。
よって、デザイン・レイアウトを行うにあたり必要な情報(読者ターゲット層、記事原稿の内容、読まれる場面の想定など)が含まれた要項のポイントを押さえて読み解けば、ある程度記述が進められるようになっている。
当試験では、ここで記述内容やアイディアの良し悪しを評価するというよりも、デザイン・レイアウトを行うにあたっての必要情報を整理し、発注者あるいは制作チームにおいて認識を共有し、実制作に取り掛かっていただくための書面と位置付けている。
今回の試験では、制作コンセプト書については8割以上の方が合格基準に達しており、事前条件整理をして論理的なデザイン・レイアウトに臨んでいただけたことがわかる。
一方誌面データについては、「デザイン/レイアウト」「文字/組版」「画像/色」「印刷適性」の4項目に分けて採点した結果を各々S~Cランクに分類し、すべての項目においてAランク以上の場合、合格となる。
不合格の要因として目立ったのが、今回から評価対象となった「デザイン/レイアウト」項目である。
従来は印刷入稿用データとしての適性が主な評価ポイントであり、レイアウトについては印刷物の常識からはずれていなければ大きく減点されることはなかった。
今回からは、印刷物ならではの価値を高められる人材を想定し、デザイン面も評価対象となっている。制作コンセプトはおおむね立てることができているが、実際の誌面デザインにて減点となる方が多かった。
逆に、提出者のうちほとんどの方が印刷適性については合格基準に達しているという結果となった。
今だからこそもつべきスキルセット
コロナ禍の影響で、ビジネスモデルや働き方の変革が予想される状況を鑑み、現状の知識・スキルもアップデートしていかなければならないことを実感している企業・従業員の方々の声も多く聞かれる。業務展開の方向性とともに、ビジネスの価値を高めるスキルは何かを常にウォッチする姿勢が重要である。