DTPエキスパート・マイスターに求められるデザイン制作スキル

掲載日:2022年4月21日
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2段階制となった DTPエキスパート認証試験

DTPエキスパート認証試験は、2020年3月より学科試験だけの「DTPエキスパート」と、学科+実技試験の「DTPエキスパート・マイスター」の2段階制となった。

例えば、最初に学科試験だけの「DTPエキスパート」を取得し、6ヶ月後、1年後に実技の能力を磨き、アップグレード試験を受験するという2段階の受験が可能になっている。
また、最初から「DTPエキスパート・マイスター」にチャレンジして、仮に実技試験をパスできなくても、学科試験に合格することで「DTPエキスパート」を取得することができる。

日常業務で実技に携わることが無い方は、印刷業務を幅広く勉強し、学科試験に臨むことで「DTPエキスパート」を取得すれば良いだろう。

つまり、受験する方たちの事情に応じて受験方法を選択することができるようになっている。

「DTPエキスパート・マイスター」 に求められるデザイン制作スキル

「DTPエキスパート・マイスター」に必要な実技試験の内容は、以前の実技試験から大幅に変更された。

従来の試験は、配布される課題に応じた「印刷データ」と、制作作業を分担するための「制作指示書」を提出するものであった。採点においては、印刷データとしての完成度が最重要であり、デザイン内容を重視しないとの不文律があった。

それに対して、新たな「DTPエキスパート・マイスター」は、印刷データ制作のエキスパートであることはもちろん、デザイン制作のエキスパートでもあることを想定している。クライアントや編集者の意図を正しく理解し、伝えたい内容やターゲットを整理すること、デザイン・レイアウトを通じて表現できることが求められている。

実技課題においては、そのプロセスを「制作コンセプト書」として記述し、「印刷データ」と併せて提出する。

読者にもっとも伝えたいことは何か、全体のバランスや優先度によって重点を置くところはどこか、それらを表現するために、どのようなデザイン・レイアウトを行うのか。コンセプト書では、「全体コンセプト」「レイアウト」「組版」「配色」などの項目ごとに、デザインの考え方、留意した点などを記述する。

誌面データは、印刷データとしての完成度は当然ながら、デザインの完成度が審査される。メインの画像や見出しの配置、書体の選択が適切かどうか、本文の設定や視線の流れに問題はないか、情報が整理されて理解されやすくなっているか、設定されたコンセプトに応じたデザインが実現されているか、など総合的な観点で採点される。

受験される方は、この機会にデザイン力・デザイン制作スキルとは何か、改めて見直すことをお勧めしたい。大学や専門学校などグラフィックデザインを学んだ方は復習を、そうでない方は関連書籍などで体系的に見直すと良いだろう。

「DTPエキスパート・マイスター」の学習を通じて、デザイン制作のエキスパートとしてスキルアップすることを目指してもらいたい。

JAGAT 研究調査部 千葉弘幸

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