【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1-6 校正
掲載日:2016年11月1日
1-6-1 原稿整理
- 原稿表記の様式は、著者の思想および感情の表現の一部であり、また一冊の本の中での表記形式の不統一は、読者が内容を理解するときに混乱を起こす。よって原稿整理が必要となる。
- 原稿整理においては、第一に著者の意向を尊重して執筆方針を読み取った上で作業を進め、その中で未整理の部分、不統一の部分を正す。表記については、あらかじめ著者との間の「執筆要項」および出版社における原稿表記ルールを明文化したハウスルールを作成するなどし、表記形式や組版原則、書籍体裁を決めておく。
1-6-2 支援ツール
- 情報がデジタル化され、情報発信媒体が多様化する中、精度やスピード、コスト面で有効とされている日本語変換のための専用辞書や文章校正支援ツール、また新聞社や出版社独自の表記ルールや用字用語規則データベースから入力時点での表記のゆれや用字用語の統一を可能とするツールなどが活用されている。
1-6-3 表記統一
- 下記の項目について注意し、一定の基準を設けることが望ましい。
・文体
・漢字の使用範囲
・漢字の字体
・仮名づかい
・数字の表記
・単位の表記
・記号の統一
・句読点の使い方
・学術用語、専門用語の表記
・固有名詞と普通名詞の表記
・外来語の表記
・欧文表記 - 表記統一の基準については、社会一般で慣用として使われている常識・ルール、内閣告示や文化審議会国語分科会報告、新聞社・出版社で独自に定めているルール(ハウスルール)などが参考に挙げられる。
1-6-4 校正記号
- 組版されたページ(ゲラ)に対し、原稿整理の基準に照らし合わせてチェックをし、修正作業者に正しく簡潔に修正の指示が伝わるよう、JIS Z 8208:2007として定められている校正記号にしたがって修正の指示をする。
1-6-5 校正と校閲
- 文字の誤りや用語・表記の不統一などを正す校正に対し、書かれた内容が事実と合っているかを確認する作業を校閲という。
1-6-6 色校正
- 顧客に提出する色校正は、顧客にカラー画像の品質のチェックをしてもらい、本刷りの了承を得るためのものである。校正結果は、製版工程への修正の作業指示となり、印刷工程への本刷りの作業指示となる。
- 色校正には、画像の質は問わず、文字・線画が色指定どおりに製版されているかを確認するために作成されるものもある。
➢ 手法
- 色校正の方法には、大別すると印刷機を使うインキ校正とデジタルプルーフ(DDCPや大判インクジェットプリンターなどを使うもの)がある。
- インキ校正は、印刷本紙と印刷用インキを使うことで、最終印刷物と同等の品質を得ることも可能である。しかし、版を作成して印刷する方法のため、コスト面、納期面の制約が大きい。
- インキ校正には、平台校正機と呼ばれる校正専用印刷機を使用する場合と本機を使用する場合がある。平台校正機は印刷条件が安定しないことなどから、昨今ではめったに使用されなくなっている。
- デジタルプルーフの場合、カラーマネジメントが組み込まれていることが一般的であり、色再現の精度も高くなっている。