ロボット、という言葉を聞いて、どんな姿を思い浮かべるでしょう?店頭で見かけるPepper君、青いネコ型ロボットなど、いろいろかと思います。
ロボットは、大きく分けて産業用ロボットとサービスロボットに大別されます。さきほど挙げたようなロボットは、人の生活をサポートしてくれるサービスロボットにあたります。
一方産業用ロボットとは、生産現場で人の代わりに作業する機械のことです。人間の腕のように物を持ち上げたり移動したり、何らかの加工を加えることができます。
産業用ロボットとは?
日本工業規格(JIS)では
「自動制御によるマニピュレーション(動かす)機能または移動機能をもち、各種の作業をプログラムによって実行できる、産業に使用される機械」
と定義しています。
産業用ロボットは関節のかたちで直交ロボット、垂直多関節ロボット、スカラロボットなどに分類されますが、関節の数が多ければ多いほど、細かな作業ができるようになります。現在最も普及しているタイプ は垂直多関節ロボットと呼ばれる5~6軸(軸=関節)を持つ腕型のロボットです。
印刷業でも、ラベル貼り付けや用紙反転、機械へ用紙をセットする作業などで利用されています。
ある印刷会社ではダイレクトメールの箱詰め作業を手作業で行っていましたが、スタッフの熟練度により作業品質に差が出ることや、作業量の把握が難しいなどの課題を持っていました。さらにスタッフの高齢化や人材不足にも対応する必要があったため、垂直多関節ロボットに作業を代替させることで省人化、効率化を実現しました。
また紙や印刷物を運ぶ搬送用ロボットも産業用ロボットに分類されます。
直線上に荷物を運ぶスライダーや、自動で目的地まで荷物を運ぶ台車型のロボット、画像認識で荷物のかたちを判別してピックアップした上で運ぶ高度なロボットなど、さまざまな形状の搬送用ロボットがあります。
産業用ロボットは世界で年平均10%以上増加が見込まれる成長市場で、自動車産業、電気・エレクトロニクス産業で導入率が高くなっています。日本では、産業用ロボットをたくさん製造していますが、約8割が国外向けです。それでも従業員1万人あたりのロボット導入台数を示す「ロボット導入密度」は世界4位となっています。
産業用ロボットは一般的に記録した動作を繰り返し行う仕組みで、動作を教えるティーチングという作業が必要です。最近では人工知能(AI)を搭載することで、ティーチングレスを実現したり、画像認識技術を生かした高度な処理なども行えるようになっています。またロボットにセンサーを付けてデータを取得することで学習用データの転用なども期待されています。
(『JAGAT info』2020年5月号より一部抜粋)