ユーザーからの問いかけに対して自動で対応するチャットボットは、今では、さまざまな業種・サービスで利用されているのを見かけます。ここではチャットボットがどのように使われているか、5つの用途に分けて紹介します。
チャットボットと言えば、お問合せ対応での活用を思い浮かべる人も多いと思いますが、そのほかの用途での活用も多く見られます。BtoCでは既にLINEやFacebookで情報発信している企業がプラスアルファのサービスとしてチャットボットを導入し、今までWebやアプリで提供していた機能をチャットボットで提供する例も見られます。
用途1:営業・接客ツールとして
ユーザーからのリクエストに対して、チャットボットが条件に合った商品やサービスを提案します。複雑な条件やより詳しい質問に対しては、オペレーター対応に切り替わる場合もあります。
オンライン不動産サービスのietty(イエッティ)、高級ホテル・旅館宿泊予約サイトのRelux(リラックス)などで活用されています。
事例:ietty
オンライン接客型不動産サービスのiettyでは、Web版とアプリ版でチャットボットを提供。「ワンルームで家賃7万以下、丸ノ内線の〇×駅徒歩10分以内」など自分の希望条件を入力すると、チャットボットが条件に合う物件を提案してくれます。
関連情報:オンライン不動産仲介の「ietty」、 東京大学との不動産物件情報処理の共同研究・ チャットbot開発を開始 マルチプラットフォームに対応可能な体制構築に注力(2016/5/13)
用途2:配信ツールとして
オウンドメディアのコンテンツの配信ツールとしてもチャットボットが活用されています。ユーザーは、事前に自分の好みをチャットボットに伝えることで、条件に合ったコンテンツを定期的に配信します。
ゴルフダイジェストオンラインなどで活用されています。
事例:ゴルフダイジェストオンライン
日本最大級のゴルフポータルサイトのゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)では、Facebookメッセンジャー上でチャットボットを運用。ユーザーはFacebookメッセンジャーからGDOスコアラを登録することで、GDOで配信しているコンテンツから気になるキーワードの記事やニュースの更新情報を配信してもらえます。
リリース:GDO、チャットボットを活用したゴルフニュース配信サービスを開始(2017/6/9)
用途3:定型業務の受付ツールとして
ある決まった手続きを行うためのツールとしてチャットボットが担当します。ユーザーは商品の注文や日時など必要な情報をチャットボットに伝え、人間の代わりにチャットボットが手続きします。
事例:ヤマト運輸
クロネコヤマトでは、荷物の受け取りに関してLINE上で手続きできるチャットボットを運用しています。ユーザーはLINE上でクロネコヤマトのアカウントと友だちになった後、日付や時間帯を指定して受取日時変更や再配達依頼ができます。クロネコヤマトのアカウントとLINEを連携することで配達通知を受け取ることもできます。
リリース:ヤマト運輸LINE公式アカウントの会話AIを活用した荷物問い合わせ機能がますます便利になります!(2016/11/15)
用途3:FAQ(お問合せ)対応として
企業サイトの問合せ一時対応としてチャットボットが対応します。ユーザーが「送料が知りたい」「パスワードがわからない」など知りたいことを入力すると、適切な回答をチャットボットが教えてくれます。
アスクルの個人通販LOHACO(ロハコ)、ネスレ通販オンラインショップ、横浜市などで活用されています。
事例:横浜市
NTTドコモ×横浜市の共同実証実験として実施しているもので、Web版で運営。ユーザーがごみとして捨てたいものの名前を入力すると、チャットボットが分別品目や出し方を教えてくれます。わからない場合は、「良くわからないんだ。ごめんね。」と返してくれます。「夫の捨て方」などの質問にユーモアあふれる回答をすることが神対応だと話題になりました。(関連記事:「旦那」を捨てようとすると名言で切り返し 横浜市のごみ分別案内AIの回答が的確だと話題に/BIGLOBEニュース)
告知ページ:NTTドコモ×横浜市共同実証実験 チャットボット”を活用した「イーオのごみ分別案内」を公開(2017/3/1)
用途4:雑談・コミュニケーションツールとして
キャラクター設定したチャットボットと会話したり、しりとりなどのゲームをして楽しめます。企業やブランドに親しみを持ってもらうなどの目的があります。
マイクロソフトの女子高生AI「りんな」やポケモンの「ロトム」のほか、ローソンの「あきこちゃん」のように会話だけでなく、他の機能と一緒に提供されることもあります。
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今回は、チャットボットがどのような用途で利用されているかを紹介しました。
チャットボット導入事例が増えて利用者側の認知度も高まってきています。今後は自社やクライアントの業務効率化の手段としてチャットボットを選択する可能性も大いにあるでしょう。チャットボットの特徴や活用事例などを理解しておくと役立つ機会もあるかと思います。
(JAGAT研究調査部 中狭亜矢)
関連イベント
記事で紹介したiettyのほか、横浜市のチャットボット機能を提供しているNTTドコモ、LOHACOなどで採用のチャットボットツールを提供している、りらいあコミュニケーションズが登壇します。
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【日時】
2018年1月16日(火) 14:00-16:40(受付開始:13:30より)
【会場】
日本印刷技術協会 3Fセミナールーム(〒166-8539 東京都杉並区和田1-29-11)
【参加費】
15,120円(税込)、JAGAT会員:10,800円(税込)
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